誕生日には花束を抱えて【完】
私は、正平に、真知子さんのように辛い思いをさせたくなかった。


だから、あんな嘘をついたのに――。


真知子さんの思いを聞いてから、後悔し始めた。




……ううん。違う。


真知子さんに会わなかったとしても、私はきっと後悔していた。


正平への想いも、病気のことも、全部話せばよかった、……って。


弱っていくのを正平に見られるのは、やっぱりイヤ。


だけど、正平と離れているのはもっと辛いから。


正平は、もう、私を許してくれないかもしれない。


だけど、私は。


――正平に、会いたい。


たとえ、どんなに酷いことを言われてもいいから。


正平に、会いたい――。

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