誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>


サトちゃんを傷つけるな。


小泉に言われてから、いつも悩んでいた。


乙女心に疎いオレは、どうしたら傷つけずに済むのか、そればかり考えていた。




サトちゃんが行きたいと言ったところへ行き、サトちゃんがやりたいと言ったことをやる。


できるだけ心がけていたが。


「正平くんの家に行きたいな」


サトちゃんは、オレのアパートへ来たがった。


だけどオレは、それを断っていた。


部屋に2人きり――。


サトちゃんが望んでいるようなことは、オレにはできそうもなく、かえってサトちゃんを傷つけてしまいそうだったからだ。

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