誕生日には花束を抱えて【完】
――ピンポーン。
静まり返った部屋に、チャイムの音がやけに大きく鳴り響いた。
玄関を開けると、
「ケーキ食べる?」
愛が、もみじ堂のケーキの箱を手にして立っていた。
「……なんで?」
オレに会いに来たってことは――。
カレシとはもう別れたのか――?
「だって、誕生日はいつも一緒でしょ」
そう言ってケーキの箱をオレに渡した時、愛はサトちゃんの靴に気づいてしまった。
「……カノジョ? ごめん……帰るね」
そう言った後も、愛はオレの顔をしばらく見つめていたが、
「……ほんとに……ごめんね」
深い声でつぶやくと、オレに背を向けた。
どんどん遠ざかる、愛の後姿――。
本当は追いかけたかった。
追いかけて、「好きだ」と言って抱きしめたかった。
静まり返った部屋に、チャイムの音がやけに大きく鳴り響いた。
玄関を開けると、
「ケーキ食べる?」
愛が、もみじ堂のケーキの箱を手にして立っていた。
「……なんで?」
オレに会いに来たってことは――。
カレシとはもう別れたのか――?
「だって、誕生日はいつも一緒でしょ」
そう言ってケーキの箱をオレに渡した時、愛はサトちゃんの靴に気づいてしまった。
「……カノジョ? ごめん……帰るね」
そう言った後も、愛はオレの顔をしばらく見つめていたが、
「……ほんとに……ごめんね」
深い声でつぶやくと、オレに背を向けた。
どんどん遠ざかる、愛の後姿――。
本当は追いかけたかった。
追いかけて、「好きだ」と言って抱きしめたかった。