誕生日には花束を抱えて【完】
こいつは――。


こいつは、どこまでバカなんだ。


神崎のことが好きだってわかったんだろ。


だったら、追いかけろよ。


サトちゃんのことなんて――。


他のヤツのことなんて、どうだっていいだろうが。


なんで追いかけないんだよ。


……なんで、神崎を傷つけるんだよ。


今日ここに来たことで、鈍感な正平にも神崎の本心がわかったはずなのに――。




煮え切らない正平が、許せなかった。


「サトちゃんのこと傷つけるなって、言ったよな」

「……あぁ」


「そんで、確か、おまえは、神崎のこと忘れるって言った」

「…………」


「2つも、約束、破る気か?」

「…………」


「おまえ、最低だな」


吐き捨てるように言って、部屋を出た。

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