誕生日には花束を抱えて【完】
……だが。


本当に最低なのは、オレだ。


ああやってプレッシャーを与えれば、正平は神崎に気持ちを伝えられなくなる。


少なくとも、オレやサトちゃんの気持ちが癒えるまでは。


正平は、以前から、そういうヤツだ。


そして、オレは――。


以前から、卑怯なヤツだった。




「こうなったらもう、私から告白するしかないのかな?」


高校時代、神崎がオレに相談してきたことがあったのだが、


「う~ん、でもさ、正平と神崎のパターンだと、男から告るのが筋じゃね? 女子から告るなんて、乙研的にはどうかな」


そう言って告白を阻止した。


また違う時期、師匠(山本)から、


「愛のグチ聞かなくていいように、もう、あの2人くっつけちゃおうよ」


協力を求められた時も、


「すれ違いとか誤解が2人の愛を深めるんだから、放っといた方がいいんだよ」


オレは取り合わなかった。

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