誕生日には花束を抱えて【完】
「深見にカノジョができたって、聞いたけど?」


師匠に聞かれて、我に返った。


「え、あ、そうだよ」


それは嘘ではない。


「ほんとは、2人をくっつける手伝い、してもらおうと思ってたの。でも、……しょうがないわね」

「…………」

「あ、愛のお見舞い行きたくなったら連絡して。一緒に行こう。乙女チックマンガ持って行ってあげたら喜ぶんじゃない?」

「……そうだな」


正平はまだ神崎を想っている――。


真実を告げないまま、師匠と別れた。

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