誕生日には花束を抱えて【完】
<愛>


奈緒ちゃんたちが帰って、車椅子からベッドに移る時、私は正平をギュッと抱きしめた。




今日が最後かもしれない――。


奈緒ちゃんたちといる時から、終わりの予感がしていたから。




「……カレシができたって言うの……ほんとは嘘なの」


どうしても、知っておいてほしかった。


正平は私のたった一人の恋人だった、ということ。


「私が好きになったのは……正平だけ、だから」

「……うん」


「でも!! 正平は、私の他に、最低2人は好きな子がいたね」


しんみりしたムードを変えようと、冗談ぽく正平を責めてみた。

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