誕生日には花束を抱えて【完】
1週間後――。


「山本さんと小泉くん……できたらでいいんだけど、呼んでもらえる?」


オレはおばさんに頼まれた。




数時間後、病室には、オレの他に、おばさんとおじさん、愛のじいちゃんとばあちゃん、オレの母ちゃん、小泉と山本がいた。


「神崎、乙女チックマンガ持って来たぞ! これはマジ、最高に感動するから、読まなきゃ損するぞ」


小泉が一生懸命大声を張り上げる横で。


オレは、黙っていた。


黙って愛の手を握りしめていた。


口を開いたら、間違いなく涙がこぼれてしまうからだ。




みんなで愛を見守っていると、不意に、愛の瞳が開いた。


「愛、わかる? みんないるよ」


山本の声――。


きっと、愛に届いたのだろう。


だって、気のせいなんかじゃなく。


愛は、オレに向かって微笑んだんだ。




まるで、天使のように――。

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