誕生日には花束を抱えて【完】
エピローグ
クリスマスイヴ――。
今日は、彼女の誕生日でもある。
……しかし。
彼女に逢うことは、もう、できない。
家の近くの商店街――。
最近出来た、熱帯魚専門店の前で、彼はふと、足を止めた。
そこは、以前、花屋だった。
彼は、その花屋で花束を買いたいと思っていたのだが。
彼女の入院生活に付きっきりだった彼が気づいた時には、もう。
花屋も親切な店主も、姿を消していた。
彼は、悲しみをこらえて歩き出した。
彼女と出会い、過ごした街を――。
彼女との想い出と、
彼女の大好きなチューリップの花束を、
胸に抱えて――。
今日は、彼女の誕生日でもある。
……しかし。
彼女に逢うことは、もう、できない。
家の近くの商店街――。
最近出来た、熱帯魚専門店の前で、彼はふと、足を止めた。
そこは、以前、花屋だった。
彼は、その花屋で花束を買いたいと思っていたのだが。
彼女の入院生活に付きっきりだった彼が気づいた時には、もう。
花屋も親切な店主も、姿を消していた。
彼は、悲しみをこらえて歩き出した。
彼女と出会い、過ごした街を――。
彼女との想い出と、
彼女の大好きなチューリップの花束を、
胸に抱えて――。