誕生日には花束を抱えて【完】
<愛>


受験日が近づいて、私は悩んでいた。


桜葉学院を受けない。


――私立中学は受けない。


――地元の、風花中に行きたい。


私の、本心――。


それを伝えたら、お父さんもお母さんも、きっとがっかりしてしまうだろう。


だけど、私は、正平と同じ学校に行きたかった。


――私は、正平が、好き。


意地悪したくなるのは、正平の気を惹きたいから――。


やっと、自分の気持ちに気づいた。


正平はこれと言って目立たず、転校生として紹介された時が一番注目された時。


イケメンというわけでもなく、頭がいいわけでもなく、おもしろいわけでもなく、スポーツ万能というわけでもない。


だけど、私だけは知っていた。


バスケをしている時の、正平。


シュートを放つ時の、真剣な眼差し。


キレイなフォーム。


正平が、輝く瞬間――。

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