誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>


小学校を卒業してからも、愛はオレの部屋にやって来た。


「これから、私のカレシのフリしてよ」

「はあ?! なに言ってんの?」

「だって~、中学でも、私、きっとモテちゃうでしょ。好きでもない人に告白されるのってなんだか――」

「ちょ、ちょっと待って。愛が行くのは女子校だろ。だったら――」

「――私、風花中に行くことにしたの」

「ええっ、なんで?」

「通うの、大変そうだから」

「はあ?! そんなの、最初っからわかってたことじゃん」

「じゃあ、聞くけど」

「な、なんだよ」

「私が、いつ、女子校に『行く』って言った?」

「は?」

「桜葉学院、受験するとは言ったけど、行くなんてひとことも言ってないからね~」

「…………」


……屁理屈もいいところだ。


まあ、口で勝てるとは思えないから反論はしないけど。

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