誕生日には花束を抱えて【完】
Ⅰ.幼なじみ

小学6年生

<深見正平(ふかみしょうへい)>


小学5年から6年になる春休み、オレは風花市に引っ越してきた。


前の学校でミニバスをやっていたので、家の近くの小さな公園にバスケットゴールがあるのを発見してからというもの、毎日そこでシュート練習をしていた。



「――深見さんちの子でしょ?」


数日後、声をかけられて振り返った瞬間、オレは恋に落ちてしまった。


声の主は、めちゃくちゃ可愛い女の子。


満開の桜の木の下――まるで、舞い降りた天使のよう。


「私、神崎愛(かんざきあい)。深見さんちの隣りの家の」


その子は簡単な自己紹介をすると、


「私も小6なの。――よろしくね」


にっこりと微笑んで握手を求めてきた。


その笑顔は「天使」そのもの。



カ、カワイイ……。

< 3 / 200 >

この作品をシェア

pagetop