誕生日には花束を抱えて【完】
「という訳で。カレシのフリ、しっかりお願いね」

「なんでオレが――」

「だって、こんなこと頼めるの、正平しかいないんだもん」


瞳を潤ませてオレを見上げる、愛。


そんなカワイ子ぶったって、オレは騙されないからな。


オレは、おまえの本性を知っているんだ。


――断る。


きっぱり言い放つつもりが、


「ねえ、お願い」


シャツの裾を軽く引っ張られて、


「……わかったよ」


オレは答えていた。

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