誕生日には花束を抱えて【完】
私がいちばん仲良くなったのは、同じバスケ部の、山本奈緒ちゃん。


奈緒ちゃんは、背が高くて性格もサバサバしていて「カッコいい」とか「男前」という形容詞がぴったりくる女の子。


思い切って、奈緒ちゃんに正平とのことを打ち明けた。


「ほんとは可愛くしたいけど、今までが今までだったから……」

「そう? 十分可愛いと思うけど?」

「みんなの前だと大丈夫なの。2人きりになると、つい、意地悪しちゃうんだ」

「じゃあさ、みんなの前では『超! 可愛いカノジョ』でいれば?」

「え?」

「そうしてるうちにそれが普通になって、2人の時も可愛い態度取れるようになるんじゃない?」

「……そうかな?」

「そうだよ」

「そしたら、私のこと……好きになってくれるかな?」

「大丈夫! きっと両想いになれるよ。愛は、すっごく可愛いもん」


奈緒ちゃんは明るい笑顔で、私を励ましてくれた



そして、私は、奈緒ちゃんのアドバイスどおり、みんなの前ではできるだけ可愛い態度で正平に接した。


――正平が好き。


口には出せないけど、私の気持ちが伝わるように……。

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