誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>


中学に入って、オレが仲良くなったのはクラスも部活も一緒の、小泉。


ちょっとお調子者だが、明るくておもしろいヤツだ。


オレたちは、部活がない時はたいてい、オレの家でゲームをするか、近くの公園でバスケの練習をしていた。



5月のある土曜日、小泉と公園でバスケをしていると、


「正平~」


愛がやって来た。


「なんだよ」

「お母さんに買い物頼まれたんだ」

「あっそ。じゃあ、早く行けば?」

「正平がシュートするとこ、ちょっと見ててもいいでしょ?」

「ダメ~」

「どうして?」

「気が散るから」

「……わかった。じゃあ、行くね」


本当なら文句のひとつも言いたかっただろうが、小泉がいたためか、愛は「可愛いカノジョ」を演じ切って去って行った。

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