誕生日には花束を抱えて【完】
2学期になり、席替えをした。


オレの隣りになったのは、小谷。


おとなしくてオレとはほとんどしゃべったことがなかったが、意外にも向こうから話しかけてきた。


オレが抱いた小谷の印象は、「優しい女の子」。


愛のは演技だが、小谷の優しさは本物だと思えた。


「深見くんは、東高、受けるの?」

「多分ね」


緑丘東高校はこの辺で一番の進学校。


自分と同じ東高に行ってカレシのフリをしろ、と愛にしごかれてきた結果、オレは合格圏内の成績を維持していた。


「小谷は?」

「私は、北高。……もっと勉強しとけばよかったな」


それって、もしかして……。


オレと一緒の高校に行きたいってこと?


オレのことを好き――ってこと?



初めて抱いた、本当の、恋の予感――。

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