誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>
小谷を家まで送って帰って来ると、愛はまだオレの部屋にいた。
「どうして送って行ったの?」
「だって、暗くて危ないし」
「カノジョがいるんだから、期待させるようなことしない方がいいんじゃない?」
上から目線な、愛の態度。
なんだかムカついて愛を睨んだ。
「オレ、カレシのフリ、やめるから」
「え?」
「おまえのワガママにつき合うの、もう、うんざりなんだよ」
愛には散々酷いことを言われてきたんだ。
これぐらい言ったってバチは当たらないだろう。
自分を正当化し、そのまま睨みつけていると、愛の方が先に視線を逸らした。
「……小谷さんのこと、好きなの?」
ふと見せた儚げな表情に、一瞬胸が痛んだが。
これも、演技だ――騙されるな。
「あぁ、好きだよ」
オレが即答すると、愛は表情を強張らせて黙り込んでしまった。
小谷を家まで送って帰って来ると、愛はまだオレの部屋にいた。
「どうして送って行ったの?」
「だって、暗くて危ないし」
「カノジョがいるんだから、期待させるようなことしない方がいいんじゃない?」
上から目線な、愛の態度。
なんだかムカついて愛を睨んだ。
「オレ、カレシのフリ、やめるから」
「え?」
「おまえのワガママにつき合うの、もう、うんざりなんだよ」
愛には散々酷いことを言われてきたんだ。
これぐらい言ったってバチは当たらないだろう。
自分を正当化し、そのまま睨みつけていると、愛の方が先に視線を逸らした。
「……小谷さんのこと、好きなの?」
ふと見せた儚げな表情に、一瞬胸が痛んだが。
これも、演技だ――騙されるな。
「あぁ、好きだよ」
オレが即答すると、愛は表情を強張らせて黙り込んでしまった。