誕生日には花束を抱えて【完】
その日の夕方、チャイムが鳴って。


「正平、お隣りの愛ちゃんが遊びに来てくれたわよ」


母ちゃんに続いて、


「おジャマしま~す」


あの子がオレの部屋に入って来た。


「な、なんだよ」


自分の部屋に女の子が来るのは初めてだったし、来たのがあの子だったせいで、オレはうろたえてしまった。


初対面の女の子、それも一瞬恋した女の子から「バ~カ」と言われたことは、かなりショックなことだった。


「これから通う小学校のこと、いろいろ教えてくれるんですって。

じゃあ、愛ちゃん、よろしくね」


母ちゃんが部屋を出て行くと、


「はい、これ」


ドサドサッと、問題集の束が目の前に落ちてきた。


「……なに、コレ」

「春休み中の、正平のノルマ」

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