誕生日には花束を抱えて【完】
長い沈黙の後、


「……わかった」


愛は、やっと聞き取れるくらいの声でつぶやいた。


「……明日からは朝、私が5分早く出るから、正平は5分遅く出てね」


最後まで視線を合わせないまま、愛が部屋を出て行って。




オレはふと、気づいた。


手付かずで残っていた、2つのケーキ。





なぜだか、オレは胸が苦しくなった。

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