誕生日には花束を抱えて【完】
「小谷と、つき合わないのか?」

「…………」


オレは返事に詰まった。


愛と「別れて」から、小谷はやたらとベタベタしてくるようになった。


周りも、早くつき合えばいいのに、という雰囲気。


障害は何もない。


――オレは、小谷のことが好きだ。


あの時は確かにそう思っていた。


しかし、今は――。


小谷に「好きだ」とか「つき合おう」と言う自分が想像できなかった。


想像の中でオレがその言葉をかけているのは、今さらだけど。


――愛だった。

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