誕生日には花束を抱えて【完】
……それなのに。


正平の誕生日から、1カ月。


正平と小谷さんは、まだ友達のまま。


「どうして小谷さんとつき合わないの? ……両想いなのに」

「おまえ、百合女受けるんだって?」


だけど、正平は私の質問を黙殺した。


「オレと一緒に、東高、行くんじゃなかったのかよ」


……どうして、今頃そんなこと言うの?


もう、私と一緒にいたくないんでしょ?


期待させるようなこと言わないでよ。


がんばって、正平のこと、あきらめようとしてるんだから――。


「東高は男子が多いでしょ。カレシのフリしてくれる人も見つけられそうにないし。だから女子高にしようと思って」

「言っとくけど、通うの大変だぞ。わかってんの?」

「それは大丈夫。百合女の近くにおばさんの家があるの。多分、そこから通うことになると思う」


正平のこと、あきらめる方法――。


私なりに考えたんだよ。

< 58 / 200 >

この作品をシェア

pagetop