誕生日には花束を抱えて【完】
正平――?


「いきなり呼び捨てかよ」

「あ、私のことも『愛』って呼んで。

今後は家族ぐるみのおつき合いになるだろうから、名前の方がいいと思うの」

「あ、そ……」

「正平、引っ越して来てからぜんぜん勉強してないんだって?」


だって、春休みは宿題もないし、遊んで過ごすもんだろ。


「正平のお母さん、嘆いてたよ。だから、私が一緒に勉強してあげることにしたの」

「いや、いい、いい。一緒にやってくれなくてもいいからっ」


午前中のことに加え、単に勉強が嫌だったこともあってオレはあわてて拒否した。


「私と一緒だと……イヤ?」


愛にじっとみつめられて。



オレはふたたび恋に落ちてしまった。



「……あのね。私、初めて会った時から正平のこと――」


言いにくそうに、愛がオレをみつめた。


え――?

も、もしかして、まさかの両想い?!

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