誕生日には花束を抱えて【完】
「そんなこと、ちょっと考えればわかるじゃない。相変わらず、バカね。あ、私、もう行かなきゃ」


私は正平に背を向けた。


これ以上一緒にいたら、泣いてしまいそうだったから。


「――愛」


私の背中に、正平の低い声。


「あんまり、無理すんなよ。中学受験の時みたいに、さ」


優しい言葉は、いらない。


……だって。


私は、正平をあきらめなくちゃいけないんだもん。


「バ~カ」


振り返って叫んだ後、私は真っ直ぐ前を向いて歩き出した。

< 61 / 200 >

この作品をシェア

pagetop