誕生日には花束を抱えて【完】
朝からどんよりとした曇り空の下、オレは通学路を歩いていた。


公園の前を通りかかった時、バスケットゴールに目をやった。


言ってみれば、それはオレの、クセ。


そして、視線を戻す途中、ベンチにうずくまっている愛を見つけた。


明らかに具合が悪そうで、オレは慌てて駆け寄った。


「愛、どうした?」

「お腹、痛い……」


愛は顔を歪めて、腹を抑えていた。


「おばさん、呼んで来るから――」




それから、愛は、おばさんに連れられて風花総合病院へ行った。


オレは遅れて学校に行ったが、愛のことが気になって授業どころではなかった。

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