誕生日には花束を抱えて【完】
<愛>


「愛、正平くんが来てくれたわよ」


お母さんの声に続いて、正平が部屋に入って来た。


「おまえ、何してんの?」


正平は不機嫌そうに、机に向かっている私の前の問題集を覗き込んだ。


「何って……受験勉強だけど?」

「受験勉強のやり過ぎで胃炎になったんだろ? あんまり無理すんなよ」


……正平は、勘違いしてる。


私は受験で無理してたわけじゃない。


胃炎になったのは、正平のこと、くよくよイジイジ悩んでいたから。


正平のこと諦めようとしてたから。

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