誕生日には花束を抱えて【完】
「……小谷さんのことは、いいの?」


おそるおそる聞いてみたけど、


「学校、明日から行けんの?」


正平は話を逸らして答えてくれなかった。


「あ、うん」

「また途中で具合悪くなるかもしんねぇから、オレ、一緒に行ってやるよ」

「え、あの……」

「明日、いつもより5分遅く出ろよ――これ、見舞い」


一方的に言うと、正平は大きな紙袋を床に置いて部屋を出て行った。




紙袋の中に入っていたのは、ピンクのチューリップの花束。


私が大好きな花。


ちょっと早い春の気配に、私の胸はじんわりと暖かくなった。

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