誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>


「あれ、なんで2人?!」

「まさか、ヨリ戻したとか?」


学校に着くと、オレたちは注目の的。


カレシのフリしてやるから、一緒に東高に行こう――。


昨日、オレはそんなことを言ったが。


カレシのフリをしろともするなとも、東高に行くとも行かないとも、まだ、愛から聞いていない。


騒ぎの中心で、オレは何も言えずに立っていた。


「あのね、私――」


愛が口を開き、みんなが一斉に注目した。


「やっぱり正平が好きって、気づいたの」


チラリとオレを見た愛は、めちゃくちゃ可愛いかった。


それが、たとえ演技だったとしても――。


いつか、愛が本気で言ってくれるように、オレは愛を大切にする。


他の誰にも、渡したくない――。


「そ~ゆ~ことだから、オレの愛に、手、出すなよ」


オレは、本心を叫んだ。

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