誕生日には花束を抱えて【完】
「……誰?」

「私のカレシなの」

「え――?!」


値踏みするような男の目――。


中学に入学したての頃の記憶が蘇る。


こんなヤツが? と見下された日々――。


どうせコイツもそんな態度を取るのだろうと思っていたが、目が合った途端、敵意をむき出しにしてきた。


それは、3年前とは違う反応だった。


「帰ろ」


学ランの裾を愛に引っ張られて、


「ん? あぁ」


その男とオレの睨み合いは、そこで中断された。

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