誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>


数日後、部活が始まった。


男子と女子の部室は離れていたので、部活が終わると、愛とオレは昇降口で待ち合わせて帰っていた。


「あの子? 確かに可愛いじゃん」

「だろだろ。オレ、告っちゃおっかな」


昇降口の近くまで来ると、男が2人、コソコソ話していた。


2人が話題にしているのは、先に来てオレを待っていた、――愛。


まだ入学したばかりで、愛とオレが「つき合っている」ことは知られていない。


かと言って、アイツらのところへ行って、「オレがカレシだ」と宣言するわけにもいかない。


だから、


「あ、正平」


オレに気づいて微笑んだ愛の手を、


「――行くぞ」


オレはしっかりつかんで歩き出した。


――愛は、オレのものだ。


アイツらにわからせるために。

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