誕生日には花束を抱えて【完】
愛とおばさんが、竹谷さんの娘の話題で盛り上がっている横で。
ふと、視線を感じて振り向くと、花屋のおじさんがニコニコして――いや、どちらかというと、ニヤニヤしてオレを見ていた。
数カ月前、花を買いに来たオレを覚えていたらしい。
――あの花束は、その子に渡したのかい?
多分、おじさんはそう言いたいのだろう。
オレは愛に気づかれないよう、小さくうなずいた。
そして、心の中でおじさんに言った。
何年か後、紙袋に隠さなくても大丈夫なくらい花束が似合う大人の男になったら。
12月24日――カノジョの誕生日に、花束を買いに来ます。
きっと、きっと、来ますから、見守っていてください。
まさか伝わってはいないだろうが、あまりにタイミングよく、おじさんはVサインを掲げた。
ふと、視線を感じて振り向くと、花屋のおじさんがニコニコして――いや、どちらかというと、ニヤニヤしてオレを見ていた。
数カ月前、花を買いに来たオレを覚えていたらしい。
――あの花束は、その子に渡したのかい?
多分、おじさんはそう言いたいのだろう。
オレは愛に気づかれないよう、小さくうなずいた。
そして、心の中でおじさんに言った。
何年か後、紙袋に隠さなくても大丈夫なくらい花束が似合う大人の男になったら。
12月24日――カノジョの誕生日に、花束を買いに来ます。
きっと、きっと、来ますから、見守っていてください。
まさか伝わってはいないだろうが、あまりにタイミングよく、おじさんはVサインを掲げた。