誕生日には花束を抱えて【完】
たまたま男子バスケ部だけ練習があった午後、奈緒ちゃんと私は、私の部屋でマンガを読んでいた。


小泉くん(の妹)から借りた恋愛マンガを読み終えると、


「あ~あ、正平は、なんで好きって言ってくれないんだろ?」


私はため息をついた。


すると、今までにも散々私のグチを聞かされていたせいか、奈緒ちゃんは、


「だったら、もう、『好き』って言っちゃえばいいじゃん。愛が」


面倒くさそうに顔を上げた。


「そんなの、ダメ! 正平の方から、告白してほしいの!」

「どっちが先だっていいじゃない。もう両想いなんだから」

「ダメ。それは、絶対に譲れないの。だって、そういうパターンのヤツなんだもん」

「なに、それ」

「乙女心はワガママなの」

「あ、っそ」


奈緒ちゃんは呆れて、愛読書『ブラックジャック』に目を戻してしまった。

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