誕生日には花束を抱えて【完】
高校2年生
高2の冬――2月の終わり。
未だにオレは、愛にはっきり気持ちを伝えておらず、壊れそうな理性を盾に愛の攻撃をギリギリかわす日々を送っていた。
部活が終わって帰ろうとすると「夕方から雨」の予報どおり雨が降っていた。
「人が傘持って来なかった時に限って当たるんだよな~」
「小泉、傘ないの?」
「うん」
「じゃあ、これ貸してやるよ」
用意周到なオレは、ちゃんと傘を持って来ていた。
「いいのか?」
「愛も持って来てたから」
「はっは~ん。さては、神崎とアイアイ傘したいから、その傘をオレに――」
「――バカ、ち、違うよ」
「今さら否定すんなって。しょうがねえ、借りてってやるよ――んじゃな~」
オレの厚意を自分の厚意にすり替えて、小泉は去って行った。
「ったく、小泉は」
多少納得の行かない思いを抱えながら、昇降口で愛が来るのを待った。
未だにオレは、愛にはっきり気持ちを伝えておらず、壊れそうな理性を盾に愛の攻撃をギリギリかわす日々を送っていた。
部活が終わって帰ろうとすると「夕方から雨」の予報どおり雨が降っていた。
「人が傘持って来なかった時に限って当たるんだよな~」
「小泉、傘ないの?」
「うん」
「じゃあ、これ貸してやるよ」
用意周到なオレは、ちゃんと傘を持って来ていた。
「いいのか?」
「愛も持って来てたから」
「はっは~ん。さては、神崎とアイアイ傘したいから、その傘をオレに――」
「――バカ、ち、違うよ」
「今さら否定すんなって。しょうがねえ、借りてってやるよ――んじゃな~」
オレの厚意を自分の厚意にすり替えて、小泉は去って行った。
「ったく、小泉は」
多少納得の行かない思いを抱えながら、昇降口で愛が来るのを待った。