誕生日には花束を抱えて【完】
<愛>


「やだ~、雨降ってる~」


部室を出るなり、奈緒ちゃんが叫んだ。


「傘、ないの?」

「うん」

「じゃあ、私の貸してあげる。正平も傘持って来てたから」

「あら~。アイアイ傘で帰るの~。へ〜」

「な、なによ?」

「傘に隠れてキスとかしないでよね~」

「そ、そんなこと――」


あの正平がするはずないでしょ!


……私は、してほしいけど。


「じゃあ、借りてくね~」


奈緒ちゃんと一緒に部室を出て、私はひとり、昇降口に行った。

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