誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>


オレなら大丈夫だよ――なんてカッコつけておきながら、翌日、オレは熱を出して学校を休んでしまった。


「スーパー、行ってくるからね」


夕方母さんが買い物に行ってしまい、家にはオレ1人。


市販の風邪薬を飲んだおかげで熱はすでに下がり、居間で再放送のサスペンスドラマを見始めると。


――ピンポーン。


部活を休んだのか、愛がやって来た。


「これ、お見舞い。アイスだよ」

「ん、ああ、サンキュ」


愛とオレの身長差は30センチ近い。


だから、立って話している時は常に、愛は上目遣いになってしまい、それがまたオレの心を乱すのだ。

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