最後なのだとわかっていれば~上~

出会い

~5年前

「緊張してます緊張してます」
俺の横で騒ぐ男ー
「うっせーよ雅」
菅野雅通称俺の親友
「ほらほらあそこの女子お前見てるぞ~」
「お前の金髪にひいてんだよ」
「うわっ最悪だ~」
俺たちは今日から高校生になる。
桜のアーチのきつい坂道をのぼる
自分と同じ制服を着た同級生が何人も
あふれかえる
「俺っち同じクラス~!」
雅が俺をまじまじ見る
「何の言葉期待してんだよ!てか何組?」
「やったな!とかさぁ~…あ~1組だって」
着崩した制服のすそをずるずる引きずる雅
「もうそれやめろよ!ズボンあげろや」
「春哉だってずるずるなのにうっせーし」
「お前よりましだ!ゴミつくだろーが」
新入生にもかかわらずこのうるささに皆の目が
俺等にむく
「こら!ドアはやさしく開けなさい」
俺たちの担任だと思われる先生が怒鳴る
一番窓側の席についた俺の名前
「ちょー綺麗じゃん」
その席から見える町の景色は綺麗だった
ふと横に目をやる
[相崎ゆず]
そう書かれた紙がはってある机
鐘がなる頃にその子は入ってきた…

「ギリギリセーフ?」
少し汗かいた髪の長い女
くっきり二重ででかい瞳
細すぎるからだに俺は目がいくー…

「よろしく…お願いします」
席につくなり隣の俺に挨拶した女
「あっうん。」
優等生っぽい雰囲気の子
男はほっとかないだろう

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