最後なのだとわかっていれば~上~
「ご馳走様でした」
つきない話をしている間に食事が済む
「すんごく美味しかったです」
「ごめんお母さんちょっと制服着替えてくる」
そう言って階段をのぼっていくゆず
お母さんと2人っきり…
時計のはりの音だけがする
「…良かった春哉くんみたいな人がゆずの彼氏で」
「え?」
突然の言葉に驚く
「あの子が小さい時ゆずのお父さんと私は離婚していて」
俺と一緒だ…
「あの子に愛を与えたのは私くらいだった…いつも寂しい思いをさせた」
「きっとゆずさんは寂しさもあったかもしれませんが
お母さんには感謝してると思います。」
「え?…」
「僕も実は父親居なくて…母親は俺を1人で育ててくれました
俺はそんな母さんを尊敬してますし感謝しきれません。
きっとゆずさんも同じです」
「春哉くんはいい人ね…ゆずをよろしくね」
「…ハイ」
丁度いい時にゆずがはいってきた
「あっ俺帰ります!有難うございます!また来ます」
「あらそう…寂しいわね、でも待ってるわ」
「送ってくよ!」
「大丈夫、外寒いから」
「じゃーすぐそこまで」
俺の手を握って寒い外と歩く
「さっきね?ちょっと話聞いちゃった」
「え?聞いちゃったの…」
「うん。すごく嬉しかった私が言えない事も
言ってくれてて嬉しかった…私たちずっと一緒だよね?」
「永遠は俺にもわからない…でも俺は離さないから」
「うん…」
「それじゃ」
離しきれない手
俺は少し背をかがめる
優しく…そっと
初めてのキスをした
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