最後なのだとわかっていれば~上~
「おかえり~」
家の明かりがついているのは久しぶりだった
だからおかえりも久しぶり…
「母さん」
「春哉ご飯は?」
いつものように微笑む母さん
「あっごめん彼女っちで食べてきた」
ソファーに寝そべりながら俺は言う
「彼女~?お母さん見てないけど」
「悪い今度つれてくる」
俺は横目で母さんを見る俺を見ながら微笑んで
うなずく母さんを見てもう一度目を閉じる

母さんは俺を18歳で産んだ
34歳の母さんは少しまだ若い姿が残っている
働いてばかりの母さんは家に居る事は少ない
「母さん、ごめん」
「え~?何が?」
「俺のために遅くまで働かせて…俺…」
「貴方は私の生きがい。産まれてきてくれて有難う」
「俺必ず恩返しすっから」
「うん」

母さん…俺は
母さんに恩返しできてたのかな
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