最後なのだとわかっていれば~上~
「春哉ちょっといい?」
いつもとは違う藍那ー…
「どういう事?」
屋上で俺と藍那と雅が集まる
「雅お前…」
「でも藍那も友達だろ」
「引っ越すのゆずに言わないってどういうことよ!」
怒鳴られる俺
当たり前だ…
「俺もおかしいと思う」
雅が俺を見る
「ゆずには言わない俺きっと離れられなくなる」
「だからって…」
藍那も困った顔をする
「ごめん、藍那雅…これは俺の考えだ」
そう言って俺は階段をいつもより早くおりる
その瞬間涙が止まらなかった

「寂しくなるなぁ」
「すいません…」
母親が先生に頭をさげる
「いやいやそんな!…いつ出発ですか?」
「一週間後で…」
俺も初めて聞いた事。でも動揺なんかしない
「皆には言わないで下さい」
それだけ言い残して俺は母の車に乗る
携帯開けばゆずからのメール
[今日元気なかったけどどうしたの?]
俺はすぐに返信する
[悪い!(>人<)朝お腹痛くて]
そう返すとすぐに返事が来る
[大丈夫!?無理しないでね…]
俺はゆずを裏切るんだ
心がずたずたになる

「春哉荷物大丈夫?」
ガラガラの俺の部屋…
この辺にベッドがあって…なんて
考えてしまう
外に止めてあるトラックに荷物をのせる
明後日は引越し…
学校の荷物も先生が届けてくれた
「雅?」
トラックを送った後雅のすがたが見える
「まじ何もねーし」
俺の部屋見て雅が苦笑いをする
「あぁ…」
「お前いいのか?」
「…」
「ゆずちゃん言ってた。最近連絡とれないって」
「うん…」
「学校もこねーし。ってこんなんじゃこれねーか」
「…」
「黙ってんじゃねーよ!お前何なんだよゆずちゃん傷つけて」
何もない部屋で俺は雅に殴られる
「雅…ゆずを頼んだ、これもゆずに渡しといてくれ」
「いいんだな?…」
そう言われて俺が頷くとドアを蹴って出て行った
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