リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『職業』・1
「それだったら、長持ちするようにお酒入れてね」

「OK」

笑顔の彼に、頭を撫でられる。

…そう、彼は凄腕のパティシエ。

わたしはせいぜい家庭的なお菓子しか作れない。

だからバレンタインは毎年、彼の方からチョコをプレゼントしてくれる。

ホワイトデーだって、彼の手作りのお菓子を貰える。

つまり…わたしの方からは一度だって彼にチョコを渡したことがない。

何かお店で買ったのを渡しても嫌味っぽくなるだろうし、かと言ってわたしの手作りなんて…プロに渡すようなものじゃないし…。

「ん? どうした?」

急に黙り込んだわたしの顔を、心配そうに覗き込む彼。

わたしはイタズラ心が起きて、近付いてきた彼にキスをした。
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