星に願いを彼に愛を
藍side
昔昔…と言っても4年前の話だが
「母様、父様は…どこ?」
あれは今居る楠(クスノキ)の森ではなく柊(ヒイラギ)の森に居る頃だった
楠の森っていうのは楠と言う名の森神様がいるからだとか。柊の森も同じで柊っていう森神様がいるらしい
「父様はもう…」
僕たち鬼は森の奥に住んでいた。奥深くにいないと人を食べてしまうから、らしい
「父様はどこですか?兄様も…なんで森にいないのですか?」
母様は美しい方だった
金色の長い髪を長し白い素肌をさらけ出し、13歳の僕を抱えている
「父様も兄様も大丈夫です。心配しないで、ラン」
“大丈夫”
それは自分に言い聞かせているようだった
「僕は大丈夫です」
「そうですか?…ならよかった」
一筋の涙は頬を通り僕の目に流れる
母様は鬼だが美しい
父様もまた鬼だが美しかった。父様は鬼にはない黒い髪の毛に金色の目に、白い肌。
“ガサガサッ”
草の音…?
「あぁ…柴謳(シオウ)様
………助けて」
母様は美しい方だ
血にまみれても美しい