かえるとねこ
ねこさんはガリガリに痩せて、
歩くこともできなくなりました。

「ねこさん、これ食べて」

「ん?」

ねこさんがうつろな目を上げると、
そこにはあのとりさんが、
かえるさんを連れ去った、
あの灰色のとりさんがいました。

くちばしで数匹の銀色をしたさかなさんを、
ねこさんに差し出しています。

「ねこさん、ごめんね。
ほんとうにごめんね。ほら、
おまえもねこさんにゆるしてもらえるように
頼みなさい」

「ねこさん、ごめんなさい」
 
「あっ」

そこには、なんとひなどりさんが、
あの、とりさんが優しくくちづけをしていた
ひなどりさんが、いました。

「ほら、かえるさんのおかげで、
このこは飛べるようになったのよ。
少しずつ少しずつ飛んで、
ここまで連れて来たの」

「ねこさん、さかなさんを食べて?」

ねこさんはさかなさんを見ました。

「ぼくは食べない。
ぼくは誰も食べたくない」
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