かえるとねこ
その時です。


赤い首輪をした
一匹の太った茶色いねこさんがあらわれて、
ひなどりさんに襲いかかりました。

「グフフフ!捕まえてやるぞー」

「やめてー!」

とっさに、とりさんは、
ひなどりさんをかばって抱きくるみました。

茶色いねこさんは、グヘヘヘヘと笑って、
とりさんの背中を引っかきました。


バリッ、バリッ


茶色いねこさんの爪が、
とりさんの体を引っかくたびに、
とりさんの羽が折れる音がひびきます。


バリッ、バリッ


とりさんにくるまれたひなどりさんには、
その音が、

とりさんの体を引き裂くその音が、
ぶきみなまでにはっきり聞こえます。


バリッバリッ、バリッバリッバリッ


痛いはずなのに、怖いはずなのに、
とりさんはうめき声ひとつあげません。

「もうやめてー!イタイ!イタイよ!」

ひなどりさんは、
まるで自分が痛めつけられているかのような
悲鳴をあげました。
< 19 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop