かえるとねこ
二匹のにんげんさんは、
もうねこさんたちのほうを見ようともせず、
歩き出しました。

その後を、放心したままのひなどりさんが、
トト、トトトと、ついて行きます。

「おかあさん・・・おかあさん・・・」

ひなどりさんの目には、もう、
にんげんさんはうつっていませんでした。

「おかあさん・・・おかあさん・・・」


 ぎー、ぎー、ぎー・・・


ひなどりさんの声にこたえるのは、
にんげんさんが一歩踏み出すごとに鳴る、
かごの音だけでした。

中身が多すぎて、
かごは、今にもはちきれそうです。


ゆさっ、ゆさっ、ぎー、ぎー、ぎー・・・

ゆさっ、ゆさっ、ぎー、ぎー、ぎー


かごのすきまからはみ出た足は、
とりさんのものなのでしょうか。

それがぶきみにゆれながら、
ぽたり、ぽたりと、
地面に血を落としていきます。

「おかあさん・・・おかあさん・・・」

 ぺちゃっ、ぺちゃっ

地面に落ちたぬるぬるの血が、
たまに、小さなひなどりさんの足の形に
なって残りました。
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