かえるとねこ
「ほら、あそこだよ。
あそこから中が見えるの」

「あっ、ほんとうだ。何か食べているね」

「えっ、違うよ。
何か吐き出しているんだよ」

「そうかなあ?ぼくには何かを
食べようとしているように見えるよ」

「えー?じゃあ食べているのかなあ?」

老いたにんげんさんたちは、
生気のない目をして、
若いにんげんさんが口に入れるものを、
かんだり、出したり、
何もしなかったりしていました。

ねこさんとひなどりさんには、
なぜ、若いにんげんさんが、
よぼよぼのにんげんさんに、
たべものをゆずっているのか
分かりませんでした。



ねこさんとひなどりさんは、
草かげや木の上に身をひそめて、
にんげんさんが死ぬのを
待つことにしました。

もうほとんど身動きもできないで、
いつ死んでもおかしくないにんげんさんが
何人かいるのですが、

若いにんげんさんが、
そういうにんげんさんの世話をするので、
待っても待っても、
死ぬにんげんさんはあらわれませんでした。
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