かえるとねこ
「ひなどりさん」

「なーに?」

「ずっと迷ってたんだけどね、
ぼく、にんげんさんのところへ行って、
食べものを持って来ようかと思ってるんだ」

「えっ?」

「あ、ここのにんげんさんじゃないよ。
あのね、じつは、ぼく、
かえるさんに出会う前は、にんげんさんに
食べものをもらっていたんだ」

「えっ?ほんとう?」

「うん。
かえるさんの池から少し離れたところに、
にんげんさんのなわばりがあってね」

「あ、知ってるよ。おかあさんが
近づいちゃいけないって言ってた」

「そっかあ。ぼくは、そこでにんげんさんと
いっしょに住んでいたんだよ」

「えー!なんでなんでどうして?」

「どうしてだろう?
うまれた時からそこにいたんだ」

「にんげんさんは、
ねこさんをいじめなかったの?」

「全然いじめなかったよ。
ぼくの体をなでて、食べものをくれた。
それから、たまに、
ぼくの毛をふわふわにした」

「ふわふわに?なんで?」

「分からない」
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