地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
本当に嬉しそうな表情になり、図書館を出て行こうとした。







「なんで制服掴んでんの?」

「・・・・・。」



椅子から立ち上がり、陸の後ろから抱き着く。



「杏?」

「………………ダメ」


腰に回した腕に力を込めた。

甘い香りが鼻をくすぐる。


「……ダメ………行っちゃヤダ。どんなに可愛い子や美人でも……陸だけはダメ……」


「…遊んで来いって言ったのは、杏だろ?」


「ごめんなさい………でも陸だけは……譲れないよ」



この温かい手が、腕が、他人を触ると考えただけで…泣きたくなる。


いくらでも触って良いから…陸が触れるのは、あたし一人が良い。




胸が背中に当たるくらい、抱き着いていた時………陸が嬉しそうに笑っていたことは知らない。
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