地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
「……!」
パチッと目を開ける。
瞬きを数回繰り返した。
目に映るのは、見知らぬ天井と家具…。
「ここ……ホテルだったっけ?」
そうだ。合宿でホテルに来てたんだった。
あたしの周りは、照明が落としてあり…小さな枕元のスタンドが点いているのみ。
えっと……雑鬼に怪我を負わされた陸の手当をして、それから何だっけ?
あんまり記憶がないや……。
ベッドから起き上がり、明かりが漏れている隣の部屋をノックした。
「入っていい……?」
「どうぞ」
いつもの優しい声が聞こえたことに、凄く安心する。
「杏…起きたのか?」
扉を開けると…机に向かっていた陸が、椅子を回転させて、あたしの方を見た。