地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
今までにも、何度も助けてくれてる。

ただの彼氏に、いつも優しい手を差し延べてくれる。


「……もう痛くない?」

「痛くねぇよ」

「ほんとう…?」

「本当」

「……よかったぁ……」


肺が空っぽになるくらいに、息を吐き出した。



もう……俺が限界。


「杏……」


掠れ気味の声で名前を呼び…体を抱き寄せる。



頬に触れた瞬間…温かいものが、指先を濡らした。


「なんで泣いてんだよ……」

「だって……安心しちゃって…」


ポロポロと大きな瞳から綺麗な雫が流れ落ち…頬を濡らしていく。

普段人前では泣かない杏が、俺の前ではボロボロと泣く。

いつも…俺のために泣いてる気がする。



泣く杏が、可愛すぎると思う俺は相当……重症だよな。
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