地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
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「7分58秒か。よく出来ました。では、次はフランス語ね?30分で訳して」

大悪魔がクスリと笑い、あたしの目の前に書類を落とした。


「休憩は……?」

「あるわけないだろ?」


さも当然という涼しい顔で、大悪魔は言う。


中国語…英語…フランス語…
ドイツ語……ロシア語…。


言われるままに、仕事をこなして行った。



「社長…鬼よね……彼女なのに」

時々そんな呟きが聞こえたが…

一心不乱にキーボードを叩くあたしには、『虫料理を食べたくない』ということしかない。



「陸………終わったよ……」


社長室にいる陸に、和訳した全ての書類を渡した時には…

どっぷりと日も暮れて…月が出ていた。
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