地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
10時を過ぎた頃……

「お邪魔しま〜す」


カチャ……とドアを開けて…俺の部屋に杏がやって来た。


この頃…ようやく俺ん家まで迷子にならずに来れるようになった。


それまでは、毎日迎えに行ってたけど…。

それはそれで楽しかったんだが、本人はどう思っていたんだか。




「おはよ……陸っ」


ブニュっと両手で頬を挟まれた。


ニコニコ笑顔で俺の顔を覗き込む。


すると……ふと真顔になった。



「……また寝てないの?」

「へっ…!?」


「仕事?勉強…?…最近、寝れてないでしょう?」


心配そうな表情で、俺の頭を撫でてくれる。


この子は……。



「疲れてるの?心配事とかある?…あんまり頑張り過ぎないでね?」


『あたしの大事な彼氏様?』と続けて微笑んだ。
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